創業期・スタートアップでもファクタリングは使える?活用法と注意点を解説
創業間もない企業やスタートアップでもファクタリングは利用可能?銀行融資が難しい創業期における資金調達手段としてのファクタリングの活用法、審査のポイント、注意点をわかりやすく解説します。
ファクナビ編集部
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設立8か月、決算書はまだ1期分もない
SaaS企業を立ち上げて8か月。法人顧客が少しずつ付き始め、月商は300万円を超えた。しかし入金サイトは60日。手元資金はどんどん減っていく。銀行融資を申し込んだが「決算書が2期分ないと審査できない」と門前払い——。
創業期の企業がぶつかるこの壁には、ファクタリングという抜け道がある。売掛金が発生していれば、業歴に関係なく利用できる可能性は十分にあるのだ。
なぜ「業歴が短い」企業でもファクタリングが使えるのか
銀行融資とファクタリングでは、審査の「見どころ」が根本的に異なる。
審査で見られるのは「売掛先」であって「自社」ではない
ファクタリング会社が最も重視するのは、売掛先が期日通りに支払えるかどうかだ。利用者の業歴や経営実績ではない。売掛先が上場企業や官公庁であれば、たとえ自社が創業1年未満でも審査に通りやすい。
| 審査項目 | ファクタリング | 銀行融資 | 日本政策金融公庫 |
|---|---|---|---|
| 売掛先の信用力 | 最重視 | 参考程度 | 参考程度 |
| 自社の業歴 | 影響小 | 重視(2期以上) | やや柔軟 |
| 事業計画書 | 不要 | 必要 | 必須 |
| 担保・保証人 | 不要 | 原則必要 | 条件あり |
| 資金化までの期間 | 最短即日 | 2週間〜1ヶ月 | 1ヶ月〜2ヶ月 |
決算書がなくても申し込める
銀行融資では通常2期分以上の決算書が求められる。創業8か月の企業には物理的に用意できない書類だ。ファクタリングなら決算書の提出が不要なケースも多く、請求書・通帳のコピー・本人確認書類があれば申し込める会社がほとんどだ。
借入ではないから将来の調達に響かない
ファクタリングは売掛金の売却(債権譲渡)であり、借入ではない。バランスシート上の負債は増えないため、将来の銀行融資やVCからの出資に悪影響を与えにくい。創業期こそ、負債を増やさない資金調達手段の選択が重要になる。
他の資金調達手段と何が違うのか
創業期に使える資金調達手段を横並びで比較してみよう。
| 資金調達方法 | 対象業歴 | 調達額の目安 | コスト | 調達スピード |
|---|---|---|---|---|
| ファクタリング | 制限なし | 売掛金額まで | 手数料5%〜18% | 最短即日 |
| 日本政策金融公庫 | 創業前〜 | 〜7,200万円 | 年利1%〜3% | 1ヶ月〜 |
| 信用保証協会付融資 | 概ね1年〜 | 〜8,000万円 | 年利1%〜3%+保証料 | 1ヶ月〜 |
| ビジネスローン | 概ね1年〜 | 〜1,000万円 | 年利5%〜18% | 数日〜 |
| 補助金・助成金 | 制限なし | 制度による | 返済不要 | 数ヶ月〜 |
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創業期にファクタリングが真価を発揮する3つの場面
受注は伸びているのに手元資金が追いつかない
BtoB事業では納品後30日〜60日の入金サイトが当たり前。売上が伸びるほど先行支出も膨らみ、黒字なのに手元資金が底をつく——いわゆる「黒字倒産」のリスクが創業期には特に高い。ファクタリングで入金を前倒しすれば、この危険な空白期間を埋められる。
大型案件を受注したが、初期費用が出せない
新規の大型案件を受注できたとしても、人件費や外注費、仕入れなどの先行コストを賄えなければ仕事を進められない。既存の売掛金をファクタリングで早期資金化し、大型案件の初期費用に充てるという使い方だ。
融資の審査結果を待っている間のつなぎ
日本政策金融公庫や銀行融資を申請中でも、結果が出るまでに1ヶ月以上かかることは珍しくない。「融資が実行されるまでのつなぎ資金」としてファクタリングを使えば、資金ショートを回避できる。
創業期のファクタリング会社の選び方
「業歴不問」と明記している会社を選ぶ
ファクタリング会社の中には、申し込み条件に業歴を設けているところもある。公式サイトで「業歴不問」「創業間もない企業も歓迎」と明示している会社を優先すること。
少額から使える会社を選ぶ
創業期は売掛金の規模も小さい。買取下限額の目安は以下の通り。
- 1万円〜:フリーランス・個人事業主向け
- 10万円〜:小規模法人・スタートアップ向け
- 50万円〜:中小企業向け
- 100万円〜:中堅企業以上向け
オンライン完結型を優先する
創業期は本業に使える時間が限られている。オンラインで申し込みから契約まで完結できる会社を選べば、ファクタリングの手続きに丸一日費やすような事態を避けられる。
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必ず3社以上に見積もりを取る
創業期の企業は手数料がやや高めに設定されることがある。1社の提示条件だけで判断するのは危険だ。最低3社に相見積もりを取り、手数料率とサービス内容を比較してから契約すること。
創業期だからこそ気をつけるべき4つのこと
手数料を差し引いた「実際の入金額」で計画を立てる
100万円の売掛金を手数料10%でファクタリングすれば、手元に入るのは90万円。10万円は手数料で消える。この差を織り込まない資金計画は確実に破綻する。繰り返し利用すれば手数料負担は累積するため、あくまで一時的な資金繰り改善策として位置づけよう。
売掛先との取引実績が浅いと不利になる
創業期は売掛先との取引回数自体が少ない。ファクタリング会社が「本当に継続的な取引か」を判断しにくいため、発注書・契約書・過去の入金履歴をできるだけ多く準備して提出するのが効果的だ。
悪質業者は創業期の焦りにつけ込む
資金繰りに追われる創業期の企業を狙う悪質業者が存在する。以下に当てはまる業者には近づかないこと。
- 手数料が30%以上と異常に高い
- 契約書を交わさない、内容が不透明
- 償還請求権あり(ウィズリコース)を強要される
- 担保や保証人を要求される
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ファクタリングだけに頼らない
スピードに優れた手段だが、長期的な資金調達には向かない。創業期こそ、融資・補助金・ファクタリングを組み合わせた複線的な資金計画が重要になる。ファクタリングは短期のつなぎ、融資は中長期の運転資金、補助金は設備投資——それぞれの強みを使い分ける視点を持っておきたい。
初めてでも迷わない5つのステップ
審査をスムーズに通すコツがある。売掛先が上場企業・官公庁・大手企業の売掛金を優先的に提出すること。売掛先の信用力が高ければ高いほど、審査通過率も手数料条件も有利になる。
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まとめ
創業期・スタートアップでもファクタリングは利用できる。決算書がなくても、業歴が1年未満でも、売掛金さえあれば資金調達の選択肢になる。
- ファクタリングの審査では売掛先の信用力が最重視され、自社の業歴はほとんど影響しない
- 決算書が少ない創業期でも、請求書と通帳があれば申し込める会社が多い
- 借入ではなく債権の売却であり、将来の融資や出資に悪影響を与えにくい
- 会社選びは「業歴不問・少額対応・オンライン完結」を軸にする
- 手数料の累積を避け、融資や補助金と組み合わせた資金計画を立てることが大切
- 悪質業者から身を守るため、手数料の相場・契約内容・償還請求権の有無を必ず確認する