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ABL(動産・債権担保融資)とは?ファクタリングとの違いを徹底比較
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ABL(動産・債権担保融資)とは?ファクタリングとの違いを徹底比較

ABL(動産・債権担保融資)の仕組みと、ファクタリングとの違いを詳しく解説。在庫・機械・売掛債権を担保に使う融資の特徴、メリット・デメリット、どちらを選ぶべきか判断基準を紹介します。

ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

ファクタリング資金調達中小企業金融売掛金管理

「不動産がないと担保にならない」は昔の話

中小企業やフリーランスが銀行融資を申し込む際、長らく「担保=不動産」が当たり前だった。しかし実際のところ、事業の現場には別の種類の資産が豊富に存在する。倉庫に積まれた在庫、工場に並ぶ機械設備、毎月発生する売掛金——これらを担保として活用できる融資がABL(Asset Based Lending:動産・債権担保融資)だ。

不動産を持たない製造業や卸売業でも、事業資産を活用して資金を調達できるABL。本記事では、ABLの仕組みと、よく比較されるファクタリングとの違いを整理する。

銀行融資とファクタリングの比較イメージ
銀行融資とファクタリングの比較イメージ

ABLの基本的な仕組み

ABLとは、企業が保有する流動資産(在庫・売掛金)や固定資産(機械・設備)を担保として金融機関から融資を受ける手法だ。担保の種類によって「動産担保融資」「債権担保融資」などとも呼ばれる。

担保として使える資産の種類

資産の種類具体例対象業種
在庫(棚卸資産)製品・商品・原材料製造業・卸売業・小売業
機械・設備製造ライン・工作機械・車両製造業・建設業・運送業
売掛債権取引先への請求書・売掛金あらゆる業種
農産物・水産物収穫前の農作物・養殖魚農業・水産業
在庫や機械設備は、担保設定の際に動産譲渡担保という方式が使われる。担保を提供しながらも引き続き利用できるため、事業活動を止めずに資金調達が可能だ。

資金を受け取るまでの流れ

  • 金融機関または専門業者に相談・申し込み
  • 担保となる資産の評価(在庫の場合は現地調査あり)
  • 担保設定契約・融資契約の締結
  • 融資実行・入金
  • 定期的な担保資産の報告(在庫残高・売掛金一覧など)
  • 融資の返済
  • 通常の銀行融資に比べて審査が複雑になるが、不動産担保が不要という点で、設備投資の多い製造業などには有力な選択肢になる。

    書類・審査のチェックリストイメージ
    書類・審査のチェックリストイメージ

    ABLのメリット

    不動産なしでも担保融資が受けられる

    最大のメリットはこれだ。不動産を所有していない中小企業でも、在庫や機械・売掛金を担保として融資を引き出せる。製造業・卸売業・農業などで事業資産が豊富にある企業にとって、これまで遊んでいた担保価値を活用できる。

    融資額が事業成長に連動する

    在庫や売掛金が増えれば、担保価値も上がり、より多くの資金を調達できる。売上が伸びているのに運転資金が追いつかない「成長期の資金難」に対処しやすい仕組みだ。

    関連記事: 成長期こそ資金繰りが危ない?ファクタリングで乗り切る方法

    融資なので大口の資金調達が可能

    ファクタリングは「売掛金の金額」という上限があるが、ABLは複数の担保を組み合わせることで、数千万〜数億円規模の資金調達も可能だ。設備投資や大口仕入れの資金確保に向いている。

    既存融資に上乗せできる場合がある

    メインバンクからすでに融資を受けていても、別の担保(在庫や機械)を使ってABLを追加できるケースがある。既存の与信枠を使い切った後でも、事業資産が評価されれば追加融資の道が開ける。

    ABLのデメリット・注意点

    担保資産の定期報告が義務になる

    ABLでは、金融機関に対して定期的に担保資産の残高を報告する義務が生じる。在庫の場合は月次の在庫リスト提出、売掛金の場合は売掛金一覧の提出が求められることが多い。管理業務が増える点に注意が必要だ。

    在庫・機械の評価額は市場価値より低くなる

    金融機関が算出する担保評価額は、市場での売却価格(清算価値)ベースで算定される。帳簿上の資産価値より大幅に低く評価されることが多く、期待する融資額を得られないケースもある。

    審査に時間がかかる

    担保となる資産の現地調査や評価に時間を要するため、ファクタリングの「最短即日」と比べると審査から入金までに2〜4週間程度かかるのが一般的だ。急ぎの資金需要には向かない。

    取扱金融機関が限られる

    ABLはすべての銀行が積極的に提供しているわけではない。地方銀行・信用金庫・一部のノンバンクが中心であり、都市銀行での取り扱いは限定的だ。専門のABL業者に相談する必要がある場合もある。

    関連記事: 銀行融資に落ちたときの資金調達方法5選

    ファクタリングとABLの違いを一覧で比較

    ABLとファクタリングは「売掛金」を対象にする点で重なることがあるが、性質はまったく異なる。

    比較表のイメージ
    比較表のイメージ
    比較項目ABLファクタリング
    取引の性質担保付き融資(借入)売掛金の売却
    返済義務ありなし
    負債への影響増える増えない
    資金化スピード2〜4週間最短即日
    担保在庫・機械・売掛金など不要(売掛金が対象)
    調達可能額数千万〜数億円規模売掛金の範囲内
    コスト年利3〜8%程度手数料1〜20%
    売掛先への影響原則なし2社間は通知なし・3社間は通知あり
    対象業種製造・卸売・農業などあらゆる業種
    審査の中心担保資産の価値売掛先の信用力

    コストの実質比較

    年利でコストを比較すると、ABLの3〜8%に対してファクタリング(2社間)の手数料10%は、売掛金の支払いサイトが30日の場合は年利換算で約120%に相当する。一方、3社間ファクタリングの2%は年利換算で約24%。短期的な資金需要にはファクタリングが有効だが、半年〜1年以上の長期運転資金ならABLの方が低コストになりやすい。

    自社にはどちらが向いているか——判断の軸

    ファクタリングが向いているケース

    • 今すぐ(数日以内に)資金が必要な場面
    • 赤字決算や創業間もないため銀行融資の審査が通りにくい
    • 売掛金はあるが、在庫や機械設備がほとんどない(IT・サービス業など)
    • 負債を増やさず自己資本比率を維持したい
    • 売掛先が上場企業・官公庁で手数料を低く抑えられる見込みがある
    関連記事: ファクタリングとは?仕組み・メリット・デメリットを図解で解説

    ABLが向いているケース

    • 在庫・機械設備が多く、不動産は持っていない製造業・卸売業
    • 大口の仕入れや設備投資のために数千万円規模の資金が必要
    • 審査に2〜4週間程度の余裕があり、急ぎではない
    • 売上増加に伴い担保価値も上がる成長フェーズの企業
    • 既存の銀行融資枠を使い切っており、別の担保で追加融資を狙いたい

    両方を組み合わせる選択肢

    在庫や機械設備をABLの担保に使いながら、売掛金はファクタリングで現金化する——という組み合わせも実務的にはあり得る。ただし、同じ売掛金を二重に使う(担保提供しながら売却する)ことは法的にできないため、対象資産を明確に分けて利用することが前提になる。

    相談窓口と手続きの始め方

    ABLの相談先

    • 地方銀行・信用金庫:取引実績があれば相談しやすい
    • 日本政策金融公庫:中小企業・農業者向けに動産担保融資の制度あり
    • 商工組合中央金庫(商工中金):中小企業向け融資に強み
    • 専門のABL業者:不動産担保ではなく動産・債権担保に特化した会社

    ファクタリングの相談先

    オンライン完結型のサービスなら、最短当日に審査結果が出るものもある。まずは複数社に見積もりを依頼して、手数料と条件を比較するのが基本だ。

    関連記事: 失敗しないファクタリング業者の選び方
    関連記事: 担保なし・保証人なしで使える資金調達方法まとめ

    まとめ

    • ABLは在庫・機械設備・売掛金を担保にした融資。不動産なしでも資金調達できる
    • ファクタリングは売掛金の売却。返済不要・負債にならない・最短即日が強み
    • コストはABLが年利3〜8%、ファクタリングは手数料1〜20%(支払いサイトによって実質コストは大きく変わる)
    • 急ぎ・赤字・IT系ならファクタリング、製造・卸売・長期運転資金ならABLが向く
    • 同一資産の二重利用はできないが、担保対象を分けて組み合わせることは可能
    資金調達の選択肢を広げておくことが、経営の安定に直結する。まずは自社の資産構成と資金ニーズを整理し、最適な手段を選んでほしい。
    関連記事: 資金調達方法を徹底比較:ファクタリング・融資・補助金の使い分け

    この記事の執筆者

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