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売掛金の二重譲渡とは?リスクと法的対策をわかりやすく解説
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売掛金の二重譲渡とは?リスクと法的対策をわかりやすく解説

売掛金の二重譲渡は詐欺罪に問われる重大なリスクです。ファクタリング利用時に知っておくべき二重譲渡の仕組み、発生原因、法的リスク、そして防止策を詳しく解説します。

ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

ファクタリング資金調達中小企業金融売掛金管理

「同じ請求書」を2社に出してしまったら、どうなるか

ファクタリングで急ぎの資金を調達したい。でも1社では金額が足りない——そう思って、同じ請求書を複数のファクタリング会社に持ち込んだとしたら。あるいは、管理が雑で同じ売掛金を誤って2社に送ってしまったとしたら。

これが売掛金の二重譲渡だ。

知らずにやってしまえば管理上の重大ミス。故意にやれば詐欺罪(刑法246条)に問われかねない違法行為となる。ファクタリングを安全に利用するために、二重譲渡のリスクと防止策を正しく理解しておく必要がある。

二重譲渡のリスクと注意点
二重譲渡のリスクと注意点

二重譲渡とは何か——仕組みを整理する

売掛金(売掛債権)は、ファクタリング会社に「売却」する形で譲渡される。一度譲渡された債権は、もはや元の事業者のものではない。それにもかかわらず、同じ債権を別の会社にも譲渡してしまうのが二重譲渡だ。

具体的なシナリオ

シナリオA(意図せざる二重譲渡)

A社が取引先B社への100万円の請求書をファクタリング会社X社に売却した。翌月、手元の書類を整理していたところ、同じ請求書のコピーが出てきた。担当者がファクタリング会社Y社への申込書類と誤って一緒に送付してしまった——。

シナリオB(故意の二重譲渡)

資金繰りに行き詰まったA社が、X社に売却済みの請求書を、そのことを告げずにY社にも持ち込んで現金化しようとした。

どちらのケースも法的・契約上の問題が生じるが、BはXとYの双方に損害を与える詐欺的行為であり、刑事事件に発展するリスクがある。

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なぜ二重譲渡が起きるのか——4つの原因

1. 売掛金管理台帳の不備

「どの請求書を、いつ、どのファクタリング会社に出したか」を一覧で管理していなければ、ヒューマンエラーが発生しやすい。請求書を紙や個人のメールで管理している中小企業・個人事業主では特に注意が必要だ。

2. 複数のファクタリング会社を並行利用

複数の業者を使い分けること自体は問題ない。しかし利用が増えるほど「どの業者にどれを出したか」が混乱しやすくなる。1社で完結している間は管理も単純だが、2社・3社と増えるにつれてリスクは高まる。

3. 資金難による故意

これが最もリスクが高いパターンだ。追い詰められた経営者が「バレないかもしれない」と短絡的に行動してしまうケース。しかし現代のファクタリング会社は審査精度が上がっており、登記や確認体制も整ってきている。発覚する確率は決して低くない。

4. 請求書の再発行・差し替えによる混乱

取引先から請求書を差し替えてもらった場合や、電子請求と紙請求が混在している場合に、同一債権の書類が複数存在してしまい、管理が煩雑になるケースも見られる。

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二重譲渡が発覚した場合の3つのリスク

契約書の確認ポイント
契約書の確認ポイント

リスク1:民事上の損害賠償と契約解除

二重に譲渡された債権を買い取ったファクタリング会社は、損害を受けた場合に損害賠償を請求できる(民法709条)。また、契約書には通常「二重譲渡を行った場合は即時解除できる」旨の条項が含まれており、契約解除とともに全額返還を求められる可能性がある。

リスク2:詐欺罪による刑事責任

故意に二重譲渡を行い、ファクタリング会社を欺いて現金をだまし取った場合、詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性がある。法定刑は10年以下の懲役と重く、逮捕・起訴に至った事例も実際に存在する。

「バレなければいい」という考えは通用しない。ファクタリング会社間の情報共有や、売掛先への確認作業を通じて発覚するケースがある。

リスク3:業界ブラックリスト入りと将来の利用停止

二重譲渡の事実が判明すると、当該のファクタリング会社からの利用停止はもちろん、業界内での情報共有によって他社でも利用できなくなる可能性がある。一度信用を失うと、急場の資金調達手段を失うことになり、経営に深刻なダメージを与える。

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ファクタリング会社側の防衛策——債権譲渡登記とは

ファクタリング会社は二重譲渡リスクに対して、債権譲渡登記という法的手段で自衛している。

債権譲渡登記の仕組み

売掛債権の譲渡を法務局に登記することで、第三者に対して「この債権はすでに譲渡済み」であることを対抗(主張)できるようになる。民法467条の「確定日付ある証書による通知」に代わる対抗要件として、2社間ファクタリングで広く使われている手段だ。

複数の譲渡が競合した場合、登記の先後によって優先順位が決まる(登記先登記優先の原則)。後から登記した会社は権利を主張できない。

利用者側への影響

2社間ファクタリングを利用する際、ファクタリング会社から「債権譲渡登記に同意してほしい」と求められることがある。これは正当な手続きだ。登記費用(数万円)がかかる場合もあるが、むしろ登記を行うファクタリング会社の方が、適正な業者である可能性が高い。

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利用者が取るべき防止策——5つの実践ポイント

書類管理のポイント
書類管理のポイント

1. 売掛金の管理台帳を作る

最も基本的かつ効果的な対策。Excelやスプレッドシートで以下の項目を管理する。

管理項目記録内容
請求書番号取引先ごとに一意の番号
売掛先取引先の名称
金額請求金額
支払期日入金予定日
譲渡先ファクタリング会社名
譲渡日契約・入金日
ステータス未譲渡 / 譲渡済 / 入金済
「譲渡済」の請求書には必ず印を付け、二度と別業者に提出しないよう管理する。

2. 請求書のファイリングルールを統一する

譲渡済みの請求書は別フォルダに移す、ファイル名に「済」と付けるなど、一目でわかるルールを社内で統一する。担当者が複数いる場合は特に重要だ。

3. 複数業者利用時は担当者を一本化する

複数のファクタリング会社を並行利用する場合は、窓口を1人の担当者に集約する。情報が分散していると、ミスが起きやすい。

4. 契約前に必ず「未譲渡」であることを自社で確認

ファクタリングの申込前に、台帳で「この請求書はどこにも出していないか」を必ず確認してから書類を提出する。確認を習慣化することで、うっかりミスを防げる。

5. 契約書の禁止事項を必ず読む

ファクタリング契約書には必ず「二重譲渡の禁止」条項がある。契約締結前に条文を確認し、どんな行為が禁じられているかを明確に把握しておく。

関連記事: ファクタリング契約書のチェックリスト|見るべき10のポイント

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「複数業者を使い分けること」と「二重譲渡」は別物

誤解されがちだが、異なる請求書を別々のファクタリング会社に持ち込むことは問題ない

  • A社への請求書100万円 → ファクタリング会社X社に譲渡 ✅
  • B社への請求書50万円 → ファクタリング会社Y社に譲渡 ✅
これは二重譲渡ではなく、正当な複数業者活用だ。問題になるのは「同一の売掛金」を2社以上に譲渡した場合に限られる。

複数業者を賢く使い分けることは手数料比較・リスク分散の観点から有効な戦略だ。ただし、管理を徹底することが大前提になる。

関連記事: ファクタリング会社を乗り換える際の注意点と手順

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まとめ

  • 二重譲渡とは、同一の売掛金を複数のファクタリング会社等に重複して譲渡すること
  • 故意の場合は詐欺罪(刑法246条)が成立し、10年以下の懲役の対象になる
  • 民事上は損害賠償・契約解除・全額返還を求められるリスクがある
  • ファクタリング会社は債権譲渡登記で自衛しており、二重譲渡は発覚しやすい
  • 防止策の基本は売掛金管理台帳の整備と、提出前の「未譲渡確認」の習慣化
  • 異なる請求書を別々の業者に出すことは問題ない。二重譲渡と混同しないよう注意
ファクタリングは適切に使えば強力な資金調達ツールだ。しかし、管理の甘さや追い詰められた判断が取り返しのつかない事態を招くことがある。台帳管理という地道な習慣が、経営者を守る最大の防衛策になる。
関連記事: ファクタリングは違法?悪徳業者の見分け方
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この記事の執筆者

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ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

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