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役員借入金・役員貸付金の整理ガイド|中小企業の見えにくい財務リスクを解消する
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役員借入金・役員貸付金の整理ガイド|中小企業の見えにくい財務リスクを解消する

中小企業・個人事業主の決算書に長年残り続ける役員借入金(社長から会社への貸付)と役員貸付金(会社から社長への貸付)は、銀行格付けの低下、相続税の課税、税務調査の論点といった『見えにくいリスク』を抱えています。発生原因、税務・会計処理、銀行の評価への影響、解消方法(DES・債務免除・報酬調整・売掛金活用)、そしてファクタリングとの組み合わせまで、実務で迷わない判断軸を整理します。

ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

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役員借入金・役員貸付金が決算書に残るリスクを整理する
役員借入金・役員貸付金が決算書に残るリスクを整理する

「決算書に毎年同じ金額が残っている」——その役員借入金・貸付金は放置していませんか

中小企業や個人事業主からの法人成り会社の決算書を見ていると、貸借対照表に毎期ほぼ同額の役員借入金役員貸付金が残り続けているケースが珍しくない。資金繰りが厳しかった時期に社長が個人マネーを会社に入れた、あるいは社長個人の支払いを一時的に会社で立て替えた——その当座の処理が、いつの間にか動かない勘定残高として固定化してしまう。

短期的には事業に直接の悪影響はない。しかし、放置された役員借入金・貸付金は、銀行融資の格付け税務調査の論点相続税・事業承継の3つの場面で、見えにくいリスクとして利いてくる。特に決算書を金融機関や税理士以外の第三者(M&A候補・後継者・出資者)に見せる場面で、『なぜこの残高があり続けるのか』を説明できないと、評価が大きく下がる。

本記事では、役員借入金と役員貸付金の発生原因、税務・会計上の論点、銀行の評価への影響、そして実務的な解消方法まで、中小企業の経営者が押さえておくべき判断軸を整理する。

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役員借入金と役員貸付金の基本——向きが正反対の勘定

まず用語を正確に押さえる。

勘定科目お金の流れ計上場所性格
役員借入金役員 → 会社貸借対照表の負債会社が役員に返済する義務
役員貸付金会社 → 役員貸借対照表の資産会社が役員から回収する債権
役員借入金は会社にとって『借りたお金』、役員貸付金は会社にとって『貸したお金』だ。中小企業では、この2つが同時に決算書に並んでいることもある。

なぜ中小企業で頻発するのか

中小企業や個人事業主から法人化した会社では、経営者個人と会社のサイフが事実上一体化しているケースが多い。資金繰りが苦しいときは社長個人の貯蓄が真っ先に会社へ流れ、社長の私的支出(自宅電気代、家族の生活費の一部、私用カードの支払いなど)が会社経由で処理されることもある。

この『個人と法人の境目があいまい』な状態が、役員借入金や役員貸付金として決算書に残っていく。

関連記事: 役員報酬の決め方とキャッシュフロー|中小企業の最適化ガイド

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役員借入金が積み上がる典型パターン

役員借入金が決算書に残る典型シナリオ
役員借入金が決算書に残る典型シナリオ

パターン1:創業時の自己資金注入

法人化したばかりの会社は資本金が小さく、運転資金が足りないことが多い。社長が個人の貯蓄から数百万円を会社に貸し付け、当面の仕入れや人件費に充てる——これが最も典型的な発生源だ。

事業が軌道に乗れば返済すれば良いのだが、利益が出ても役員報酬や設備投資が優先され、役員借入金の返済は後回しになりがちだ。

パターン2:資金繰り危機での個人貯蓄投入

業績悪化や売掛金回収遅延で資金ショートしそうになったとき、社長が個人預金から会社へ振り込む。緊急避難として正しい判断だが、回復後も『次の危機に備えて返済しないでおこう』と考えるうちに、固定残高として残り続ける。

パターン3:役員報酬の未払い計上

業績が悪く役員報酬を支払う現金がないため、いったん未払金として計上し、後日返済する処理。未払い役員報酬が積み上がると、実質的に役員借入金と同等の負債として扱われる。

パターン4:役員退職金の積立代替

退職金規程を整備せず、利益が出た期に役員報酬を多めに取り、それを個人で会社に貸し付ける形に置き換えるケース。退職金の事前積立を借入金で代替する変則的な処理で、税務上も論点になりやすい。

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役員貸付金が積み上がる典型パターン

パターン1:私的支出の会社経由立替

社長個人の支払いを会社の口座やカードで一時的に処理し、後日返済すると整理しているうちに、決算をまたいで残り続ける。会社の経費にできない支出(私用旅行費、家族の生活費、個人の保険料など)が役員貸付金として処理される。

パターン2:使途不明金の振替

帳簿上、使途が説明できない支出が見つかった際に、税理士判断で『役員貸付金』として処理されるケースがある。本来は『使途不明金』のままだと損金不算入かつ重加算税の対象になるため、貸付として整理するのが事実上の落としどころとなることがある。

パターン3:役員報酬の前払い

資金繰り上、役員報酬を先払いした分を貸付金として処理するケース。年内に返済できれば問題は小さいが、決算をまたぐと累積する。

パターン4:会社資金の私的流用

最も避けたいパターンで、会社のキャッシュを社長個人が私的に流用し、会計処理上は役員貸付金として記録する。税務調査で最も問題視されるのがこのパターンで、利息相当額の役員賞与認定や、内容次第では業務上横領の指摘もあり得る。

関連記事: 決算書から読み解くキャッシュフロー|中小企業のための財務分析ガイド

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銀行はこう見ている——役員借入金・貸付金が格付けに与える影響

銀行員が決算書をチェックするポイント
銀行員が決算書をチェックするポイント

役員借入金は『資本性負債』として一部評価される

銀行は中小企業の決算書を分析する際、役員借入金を実態として返済を求められない負債と判断するケースがある。社長個人が会社の業績を熟知し、資金繰りが苦しいときには返済を待ってくれる関係性だからだ。

このため、自己資本比率や有利子負債倍率を計算する際、役員借入金を自己資本に加算して評価する金融機関は実務上少なくない。これはプラス材料だ。

ただし、以下のような場合はマイナス評価になる。

  • 役員借入金が毎期わずかに増減しており、本当に動いていないのか不透明
  • 役員借入金の金額が役員報酬総額に比して過大
  • 役員借入金と役員貸付金が両建てで計上されている(理由不明)

役員貸付金は明確にマイナス材料

役員貸付金は、銀行から見れば『会社の資金が経営に使われずに役員個人に流れている』という印象を与える。新規融資を実行しても役員に流出するのではないか、という懸念につながり、格付けが下がる。

銀行の見方役員借入金役員貸付金
自己資本比率の評価加算され得る(プラス)私的流出疑念(マイナス)
融資実行後の使途懸念低い高い(流出懸念)
経営の健全性印象やや疑問符明確にマイナス
推奨される対応動きを見せる/圧縮極力ゼロにする
特に新規融資の申込みや、リファイナンス(借換)の交渉では、役員貸付金がゼロに近いことが決算書を整える基本動作だ。
関連記事: 銀行との付き合い方で融資の可否が変わる|中小企業・個人事業主のための銀行交渉術

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税務上の論点——役員貸付金は『適正利息』が必須

適正利息を取らないと役員賞与認定

法人税法上、会社が役員に金銭を貸し付ける場合、適正な利息を収受することが原則とされている。無利息や著しく低い利息で貸し付けていると、本来取るべき利息相当額が役員賞与として扱われ、次のような不利益が発生する。

  • 会社側:定期同額給与の要件を満たさないため損金不算入
  • 個人側:給与所得として源泉徴収義務発生
  • 法人税・所得税・住民税の追徴

適正利率の目安

国税庁の通達では、会社が銀行等から借入をしてその資金を役員に貸し付けた場合はその借入利率、それ以外の場合は特例基準割合(毎年公表)を適正利率とする扱いだ。直近では年0.9〜1.0%前後で推移している。

実務では、税理士に毎期『役員貸付金利息』の計上漏れがないか確認してもらうことが必須となる。

役員借入金は税務上の論点が比較的少ない

役員借入金については、無利息で借りる分には会社側にも役員個人側にも基本的な課税論点はない(利息を払う場合は通常の支払利息と源泉徴収義務)。ただし、債務免除する段階では益金が発生するため、後述するように欠損金との兼ね合いを慎重に設計する必要がある。

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相続・事業承継のリスク——役員借入金は『相続財産』

役員借入金と相続税のリスク
役員借入金と相続税のリスク

役員借入金は社長個人の『貸付金債権』

役員借入金は、会社から見れば負債だが、社長個人から見れば会社に対する貸付金(債権)だ。社長が亡くなった場合、この貸付金は相続財産として評価され、相続税の課税対象になる。

問題は、相続税評価額が原則として額面である点だ。会社が実際には返済できる見込みがない状態でも、額面どおり課税される

よくある悲劇のシナリオ

  • 社長が個人で2,000万円を会社に貸し付け
  • 会社は累積赤字で返済余力がない
  • 社長が逝去し、後継者(息子)が貸付金2,000万円を相続
  • 相続税課税:たとえば40%なら800万円の納税義務
  • 会社は依然として返済不能、後継者は相続税のために自宅売却
これが、役員借入金を放置した結果の典型的な事業承継リスクだ。

相続税評価額を圧縮する打ち手

  • 生前贈与:年110万円までの基礎控除内で計画的に贈与
  • 債務免除:社長の生前に貸付金を放棄、会社側で益金計上
  • DES(後述):貸付金を会社の株式に振り替え
  • 会社の業績改善:返済可能性を上げ、評価減を狙う(実態評価のロジック)
事業承継対策は10年単位での長期戦略となるため、早く始めるほど選択肢が広がる
関連記事: 事業承継時のファクタリング活用ガイド|後継者の資金繰り戦略

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解消方法1:役員報酬と相殺する(最も現実的)

仕組み

役員に報酬を支払う際、その手取り額の一部を役員借入金の返済に充てる処理。実質的には、役員報酬を一度支払い、同額を役員から会社へ返済として受け取る形になる。

仕訳のイメージ

``` (支給時) 役員報酬 / 現金預金 500,000 源泉所得税等 100,000

(相殺時) 役員借入金 / 現金預金 200,000 ← 役員から会社へ返済 ```

ただし実務上は、役員報酬支給と借入金返済を相殺する処理(次のような仕訳)にして、現金移動を簡略化することも多い。

``` 役員報酬 / 役員借入金 200,000 ← 借入金で支払う形 役員報酬 / 現金預金等 200,000 ← 残額を現金支給 ```

メリット・デメリット

  • ✅ 役員個人の所得税負担はあるが、会社からのキャッシュアウトを抑えながら借入金を圧縮できる
  • ✅ 銀行格付け・相続対策の両面でプラス
  • ❌ 役員報酬を上げる必要があり、社会保険料負担が増える
  • ❌ 期中の役員報酬変更は原則できない(事業年度開始から3ヶ月以内に決定)
毎期の予算策定段階で、役員報酬の中に役員借入金返済分を織り込んでおくのが王道だ。

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解消方法2:債務免除(繰越欠損金がある場合に有効)

仕組み

役員が会社への貸付金を放棄し、会社側は債務免除益として益金計上する。

仕訳のイメージ

``` 役員借入金 / 債務免除益 10,000,000 ```

繰越欠損金との関係

債務免除益は法人税の課税対象だが、繰越欠損金がある場合は欠損金と相殺して税負担を抑えられる。例えば繰越欠損金が1,500万円ある状態で1,000万円の債務免除を行えば、相殺後の課税所得は実質ゼロになる。

逆に、繰越欠損金がない黒字法人で大型債務免除を行うと、いきなり法人税負担が膨らむため要注意だ。

個人側の取り扱い

役員(個人)側では、貸付金の放棄は所得税の対象にはならないのが原則だ(自己の財産を放棄しただけ)。ただし、贈与とみなされて他の株主に対するみなし贈与の論点が発生するケースがあるため、複数株主の会社では事前に税理士確認が必須だ。

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解消方法3:DES(デット・エクイティ・スワップ)

仕組み

役員借入金を現物出資して、会社の資本金に振り替える手法。負債が資本に変わるため、自己資本比率が劇的に改善する。

仕訳のイメージ

``` 役員借入金 / 資本金 10,000,000 ```

メリット

  • 自己資本比率の改善で銀行格付けが上がる可能性
  • 役員個人の貸付金が会社の株式に変わり、相続税評価上も会社の株価評価に置き換わる(業績次第で評価減が見込める)
  • 会社の財務体質が強化され、新規融資の調達枠が広がる

デメリット・留意点

  • 時価評価が必要:貸付金の時価が額面を下回る場合、債務消滅益が発生し課税論点
  • 登記コスト:資本金変更登記の費用
  • 登録免許税:資本金増加額の0.7%(最低3万円)
  • 資本金の額が増えると、外形標準課税・住民税均等割の負担が増える
DESは効果が大きい反面、税務・登記の専門家チームでの設計が必須だ。実行前には必ず税理士・司法書士と相談する。
関連記事: 資本性劣後ローン活用ガイド|中小企業・個人事業主が自己資本を強化する実務

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解消方法4:役員貸付金を解消する具体策

役員貸付金(会社→役員)の解消は、役員借入金とは方向が逆になる。基本は役員個人が会社に返済することに尽きる。

役員個人の返済原資の作り方

原資効果留意点
役員賞与の活用一括返済が可能損金不算入、所得税負担大
役員退職金退職時に一括相殺退職時期まで放置のリスク
個人資産の売却キャッシュ化が早い売却益に課税
配当金の受取株主配当を返済原資に配当課税、原資が必要
個人で借入即時解消個人の借金が増える

業績連動の役員報酬で解消する設計

利益の出る期に役員報酬を増額し、増額分を役員貸付金の返済原資として相殺する形が現実的だ。ただし、増額された役員報酬は税務上定期同額給与でないと損金不算入になるため、期初に1年分の支給設計を確定させておく必要がある。

私的支出が原因の場合の根治策

私的支出が会社経由で処理されることが原因で役員貸付金が膨らんでいる場合、会社カードと個人カードの完全分離役員報酬の手取り内で私的支出を賄う設計会社の経費精算ルールの厳格化が根治療法となる。

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ファクタリングとの組み合わせ——『これ以上膨らませない』ための資金繰り戦略

ファクタリングで会社の現金を確保し追加注入を不要にする
ファクタリングで会社の現金を確保し追加注入を不要にする

役員借入金が増える根本原因は『会社の資金不足』

役員借入金が膨らむ最大の理由は、会社が売掛金回収サイト中の資金繰りを埋められず、社長個人のマネーで穴埋めしてしまう構造だ。逆に言えば、売掛金を早期に現金化できれば、社長個人からの追加注入は不要になる。

ここでファクタリングが役立つ。売掛金を期日前に現金化することで、

  • 仕入れ・人件費・経費の支払いに必要なキャッシュを売掛金から確保
  • 社長個人からの追加貸付(役員借入金の増加)を回避
  • 既存の役員借入金は、役員報酬や黒字期の利益で計画的に圧縮

ファクタリングと役員借入金の使い分け表

状況第一選択補助手段
売掛金がある資金ショートファクタリング役員借入金は最終手段
売掛金がない・少ない銀行融資・公的融資役員借入金で当面凌ぐ
すでに役員借入金が多額報酬調整・債務免除・DESファクタリングで追加防止
創業期で売上が立ってない自己資金・公庫の創業融資役員借入金(記録明確に)

注意点:ファクタリング手数料は経費計上できる

ファクタリング手数料は税務上売上債権譲渡損として損金算入できるため、役員借入金で補填する場合の利息(無利息なら課税論点なし)と異なり、会社の損益にダイレクトに反映される。手数料水準が高すぎる契約は本業利益を侵食するため、複数社比較で適正水準を確認することが重要だ。

関連記事: ファクタリングの手数料相場|業者選定の判断軸

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決算書を整える年次プラン——実務的なロードマップ

役員借入金・貸付金の整理は、1期で全部解決するのではなく、3〜5年の中期プランで進めるのが現実的だ。

年度ごとの行動指針例

年度アクション目的
1年目残高の棚卸し、発生原因分析、税理士との方針確認現状把握
2年目役員報酬設計の見直し、私的支出ルール厳格化、ファクタリング活用で追加発生を抑制流入停止
3年目役員報酬経由で計画的圧縮、繰越欠損金がある期は債務免除を検討段階的削減
4年目DESや退職金との相殺など大型施策を実施抜本解消
5年目残高ゼロまたは説明可能な水準まで圧縮、銀行・後継者への決算書説明力向上ゴール到達

モニタリング指標

  • 役員借入金残高 / 月商比率
  • 役員貸付金残高 / 月商比率
  • 役員借入金 / 役員報酬総額(何年分の報酬で返済可能か)
  • 期中増減(フローの動きが見えるか)

顧問税理士との連携

役員借入金・貸付金の整理は税務論点の塊であり、顧問税理士抜きには進められない。日常の月次決算で残高を見せてもらい、年度予算策定時に整理プランを盛り込む形が望ましい。税理士が事業承継や財務改善に強くない場合は、スポットで税理士法人やコンサルタントを併用することも選択肢だ。

関連記事: 税理士・会計士と組んだキャッシュフロー改善|中小企業のための実務ガイド

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ケーススタディ——実際の解消パターン

ケース1:建設業A社(役員借入金3,000万円)

  • 創業時の運転資金として社長が個人マネーから注入、20年動かず
  • 繰越欠損金が1,500万円あり、業績は黒字回復中
  • 施策:1,500万円を債務免除で消却(繰越欠損金と相殺)、残り1,500万円は5年計画で役員報酬経由で返済
  • 効果:3年後に銀行格付けが1ノッチ上昇、新規融資枠が拡大

ケース2:飲食業B社(役員貸付金800万円)

  • 社長の私的支出が会社経由で長年処理され累積
  • 銀行から新規融資申込み時に『役員貸付金がある決算書では融資不可』と通告
  • 施策:社長が個人で住宅ローン借換時に追加借入し、800万円を一括返済。その後、私的支出は完全に個人カードへ分離
  • 効果:翌期決算で役員貸付金ゼロ、銀行融資が実行された

ケース3:製造業C社(役員借入金2,000万円・後継者問題)

  • 創業社長が80歳近く、相続を意識し始めた
  • 会社は黒字だが、相続評価額2,000万円分の納税余力がない
  • 施策:DESで全額を資本金に振り替え、株式評価額は会社の純資産価額方式で算定。生前に後継者へ計画的に株式を贈与
  • 効果:相続発生時の貸付金課税を回避、事業承継スムーズ化

ケース4:個人事業主から法人成りしたD社(複合パターン)

  • 法人成り直後の役員借入金500万円、その後の役員貸付金300万円、両建て計上
  • 業績は安定だが融資審査でいつも低評価
  • 施策:両建て解消のため、まず役員貸付金を社長個人マネーで返済し、その後役員借入金を3年計画で報酬経由圧縮。並行して入金前の売掛金はファクタリングで現金化
  • 効果:両建て解消後、銀行格付けが上がり、地銀のプロパー融資が初めて獲得できた
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まとめ

  • 役員借入金(役員→会社)と役員貸付金(会社→役員)は、向きが正反対の勘定で、中小企業の決算書では同時計上もよくある
  • 発生原因は、創業時の自己資金注入・資金繰り危機での個人貯蓄投入・私的支出の会社経由立替・使途不明金の振替など多様
  • 銀行は役員借入金を一部資本性負債として加味するが、役員貸付金は明確にマイナス評価——融資前は役員貸付金ゼロが基本動作
  • 税務では役員貸付金に適正利息が必須、無利息は役員賞与認定で追徴リスク
  • 相続では役員借入金が額面で課税対象——会社が返済不能でも後継者に重い負担
  • 解消方法は、役員報酬経由の相殺(王道)、債務免除(繰越欠損金活用)、DES(自己資本比率改善)、個人返済(役員貸付金)の4つが軸
  • ファクタリングは、売掛金の早期現金化で社長個人からの追加注入を不要にし、役員借入金の増加を止める役割
  • 整理は1期で完結せず、3〜5年の中期プランで顧問税理士と連携して段階的に進める
決算書に毎期同じ金額の役員借入金・貸付金が残っているなら、それは未対応の財務リスクだ。融資の場面、税務調査の場面、事業承継の場面——いずれかで必ず論点になる。日々の資金繰りはファクタリングで支え、利益が出る期に計画的に圧縮していく——この組み合わせこそ、見えにくいリスクを根治する現実的な処方箋だ。
関連記事: 役員報酬の決め方とキャッシュフロー|中小企業の最適化ガイド
関連記事: 銀行との付き合い方で融資の可否が変わる|中小企業・個人事業主のための銀行交渉術

この記事の執筆者

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ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

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