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ファクタリングの仕訳・会計処理を完全解説|勘定科目から消費税まで
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ファクタリングの仕訳・会計処理を完全解説|勘定科目から消費税まで

ファクタリング利用時の仕訳方法を2社間・3社間別に具体例付きで解説。使う勘定科目、手数料の消費税区分、決算をまたぐ場合の処理まで、経理担当者・個人事業主が迷いやすいポイントを網羅します。

ファクナビ編集部

ファクタリング業界に精通した編集チームが、資金調達に関する正確で実践的な情報をお届けします。金融機関での実務経験者、中小企業の財務コンサルタント経験者を中心に構成されています。

ファクタリング資金調達中小企業金融売掛金管理

「この手数料、どの科目で落とせばいい?」——ファクタリング経理の落とし穴

売掛金100万円をファクタリングで資金化した。手数料10万円を引かれて90万円が振り込まれた。ここまでは簡単だ。

問題はこの先——手数料の10万円は「支払手数料」なのか「売上債権売却損」なのか。消費税は課税か非課税か。売掛先からの入金はどう処理するのか

会計ソフトの画面を前に手が止まった経験がある人は少なくないだろう。ファクタリング自体は2020年代に急速に普及したが、仕訳方法についてはまだ定型化が進んでいない。税理士に相談しても「うちの顧問先で使っている人がいない」と言われるケースもある。

書類チェックリスト
書類チェックリスト

この記事では、2社間・3社間ファクタリングそれぞれの仕訳パターンを具体的な金額付きで解説する。消費税の取り扱い、決算をまたぐ場合の処理、個人事業主の確定申告での扱いまで、実務で迷いやすいポイントを網羅した。

関連記事:ファクタリングの手数料相場と安くするコツ

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まず押さえたい——ファクタリングで使う勘定科目一覧

仕訳に入る前に、登場する勘定科目を整理しておこう。

勘定科目区分使う場面
売掛金資産売掛債権の発生・消滅時
未収入金(未収金)資産ファクタリング契約後、入金されるまでの債権
現金預金(普通預金)資産ファクタリング会社からの入金時
売上債権売却損営業外費用ファクタリング手数料の計上
預り金負債2社間で売掛先から入金を受けた場合
売上債権売却損は聞き慣れない科目かもしれないが、手形割引の「手形売却損」と同じ性質のものだ。会計ソフトに科目がない場合は、「雑損失」や「支払手数料」で代用しても税務上の問題はない。ただし継続的にファクタリングを利用するなら、独立科目を設けたほうが損益分析がしやすい

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2社間ファクタリングの仕訳——4つのステップで完結

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の2者間で契約する方式。売掛先には通知しないため、売掛先からの入金は従来どおり自社口座に届く。この点が仕訳を少し複雑にしている。

以下、売掛金100万円を手数料率10%(手数料10万円)でファクタリングした場合で解説する。

ステップ1:売掛金が発生したとき

通常の売上計上と同じ。ファクタリング利用の有無にかかわらず変わらない。

``` (借方)売掛金 1,000,000 /(貸方)売上高 1,000,000 ```

ステップ2:ファクタリング契約を締結し、入金されたとき

売掛金をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いた金額が入金される。

``` (借方)普通預金 900,000 /(貸方)売掛金 1,000,000 (借方)売上債権売却損 100,000 ```

ここで売掛金が帳簿から消える(オフバランス)。手数料10万円は売上債権売却損として営業外費用に計上する。

ステップ3:売掛先から入金があったとき(2社間特有)

2社間ファクタリングでは、売掛先は債権譲渡を知らないため従来どおり自社口座に振り込む。この入金はすでにファクタリング会社のものなので、自社の売上ではない。

``` (借方)普通預金 1,000,000 /(貸方)預り金 1,000,000 ```

ステップ4:ファクタリング会社に送金したとき

預かったお金をファクタリング会社に送金して完了。

``` (借方)預り金 1,000,000 /(貸方)普通預金 1,000,000 ```

ファクタリングの流れ
ファクタリングの流れ

2社間ファクタリングの仕訳まとめ

タイミング借方貸方
売上計上時売掛金 100万売上高 100万
ファクタリング入金時普通預金 90万/売上債権売却損 10万売掛金 100万
売掛先から入金時普通預金 100万預り金 100万
ファクタリング会社へ送金時預り金 100万普通預金 100万
関連記事:2社間・3社間ファクタリングの違いと選び方

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3社間ファクタリングの仕訳——2ステップで完結

3社間ファクタリングでは、売掛先にも債権譲渡が通知される。売掛先はファクタリング会社に直接支払うため、自社を経由する入金がない。そのぶん仕訳はシンプルだ。

同じく売掛金100万円・手数料5%(5万円)の例で見てみよう。3社間は手数料が低い傾向にあるため、ここでは5%で計算する。

ステップ1:売掛金の発生

``` (借方)売掛金 1,000,000 /(貸方)売上高 1,000,000 ```

ステップ2:ファクタリング契約・入金時

``` (借方)普通預金 950,000 /(貸方)売掛金 1,000,000 (借方)売上債権売却損 50,000 ```

3社間ではこれで完了。売掛先からの入金はファクタリング会社が直接受け取るため、自社では仕訳不要だ。

2社間 vs 3社間——仕訳の違い早見表

比較項目2社間3社間
仕訳の本数4本2本
手数料率の目安8〜18%2〜9%
「預り金」の使用ありなし
経理の手間やや多い少ない
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ファクタリング手数料と消費税——「非課税」が正解

ここは税務調査でも指摘されやすいポイントだ。結論から言えば、ファクタリング手数料は消費税の非課税取引に該当する。

根拠は消費税法第6条と別表第一第2号。金銭債権の譲渡は「有価証券等の譲渡」に準じて非課税とされている。

つまり、手数料10万円に消費税は上乗せされない。仕訳でも非課税仕入として処理する。

``` (借方)売上債権売却損 100,000【非課税】/(貸方)売掛金 1,000,000 (借方)普通預金 900,000 ```

消費税の課税売上割合への影響

ファクタリングの利用額が大きくなると、課税売上割合の計算に影響が出る可能性がある。売掛債権の譲渡は非課税売上に該当するが、金銭債権の譲渡については譲渡対価の5%のみを非課税売上に算入するルールがある(消費税法施行令第48条)。

例えば売掛金100万円をファクタリングした場合、非課税売上に算入されるのは100万円 × 5% = 5万円だけだ。年間売上が数千万円規模であれば、課税売上割合への影響は軽微だが、ファクタリングを大量に利用している場合は注意が必要になる。

税務書類
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関連記事:ファクタリングと税金の関係|法人税・所得税・消費税の処理

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決算をまたぐ場合の会計処理

「3月にファクタリング契約を結んだが、売掛先からの入金は4月」——期末をまたぐケースは実務で頻繁に発生する。

2社間ファクタリングで決算をまたぐ場合

3月末時点の状態を整理しよう。

  • ファクタリング会社からの入金:済み(3月中)
  • 売掛先からの入金:未了(4月予定)
  • ファクタリング会社への送金:未了(4月予定)
この場合、3月末の貸借対照表には以下が計上される。
勘定科目金額説明
普通預金+90万円ファクタリング入金分
売掛金0円譲渡済みのため消滅
預り金0円まだ売掛先から入金されていない
売掛金はファクタリング契約時点で帳簿から外れている。売掛先からの入金は4月なので、3月末時点では預り金も発生していない。つまり、特別な決算整理仕訳は不要だ。

ただし、注記事項として「期末日現在、2社間ファクタリング契約に基づく回収義務○○万円あり」と記載するのが望ましい。中小企業会計指針では必須ではないが、税理士から求められることがある。

3社間ファクタリングで決算をまたぐ場合

3社間では売掛先がファクタリング会社に直接支払うため、期末をまたいでも自社の仕訳に影響はない。ファクタリング契約・入金時点で売掛金は消滅しており、追加の処理は不要だ。

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個人事業主の確定申告での扱い

法人と個人事業主で仕訳の基本構造は変わらないが、確定申告書への記載方法にいくつか注意点がある。

青色申告(65万円控除)の場合

複式簿記で記帳する必要があるため、ここまで解説した仕訳をそのまま帳簿に記録すればよい。青色申告決算書の「損益計算書」では、ファクタリング手数料を「その他の経費」欄に記載する。勘定科目は「売上債権売却損」のほか「雑損失」でもよい。

白色申告の場合

単式簿記(収支内訳書)のため、仕訳という概念はないが、手数料は経費として計上できる。収支内訳書の「雑費」または「その他の経費」欄に金額を記入する。

freeeやマネーフォワードでの処理

クラウド会計ソフトを使っている場合、「売上債権売却損」が初期設定の勘定科目に存在しないことがある。その場合は以下の手順で対応する。

  • 勘定科目を追加する:設定画面から「売上債権売却損」を営業外費用として追加
  • 補助科目で管理する:「雑損失」の補助科目として「ファクタリング手数料」を設定
  • タグやメモで区分する:科目を追加せず、取引にタグを付けて管理
  • どの方法でも税務上の問題はない。大事なのは継続して同じ方法を使うことだ。会計処理の一貫性(継続性の原則)は、税務調査でもチェックされるポイントになる。

    関連記事:フリーランスの確定申告とファクタリング

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    よくある仕訳ミスと対処法

    経理担当者やフリーランスが陥りやすいミスを3つ紹介する。

    ミス1:手数料を「支払利息」で処理してしまう

    ファクタリングは借入ではないため、手数料を「支払利息」にするのは不適切だ。支払利息は金銭消費貸借契約に基づく利息の勘定科目。ファクタリングは債権の売買なので、「売上債権売却損」が正しい。

    もし支払利息で処理すると、金融機関に融資を申し込む際の借入利息負担が実態より大きく見えてしまうリスクがある。

    ミス2:消費税を課税仕入として処理してしまう

    前述のとおり、ファクタリング手数料は非課税取引。課税仕入として処理すると、消費税の申告で仕入税額控除を過大に計上してしまい、修正申告が必要になる。

    会計ソフトで自動的に課税仕入になっている場合は、税区分を手動で「非課税仕入」に変更すること。

    ミス3:2社間で売掛先からの入金を「売上」に計上してしまう

    2社間ファクタリングで売掛先から入金があったとき、つい「売上の回収」として処理しそうになる。しかし売掛金はすでにファクタリング会社に譲渡済み。この入金はファクタリング会社への預り金だ。

    売上を二重計上してしまうと、法人税・所得税の過大申告になるだけでなく、消費税の課税売上にも影響する。

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    ファクタリングの仕訳フロー——全体像を図解で確認

    最後に、2社間ファクタリングの仕訳フロー全体を時系列で整理する。

    時点取引内容借方貸方消費税
    売上の発生売掛金売上高課税
    ファクタリング入金普通預金/売上債権売却損売掛金非課税
    売掛先から入金普通預金預り金対象外
    ファクタリング会社へ送金預り金普通預金対象外
    この①〜④の流れをテンプレートとして会計ソフトに登録しておけば、2回目以降の処理は格段にスムーズになる。

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    まとめ

    • ファクタリング手数料の勘定科目は「売上債権売却損」(営業外費用)が基本。「雑損失」「支払手数料」でも可だが、継続して同じ科目を使うことが重要
    • 手数料の消費税区分は非課税仕入。課税仕入にすると仕入税額控除の過大計上になる
    • 2社間ファクタリングでは、売掛先からの入金を「預り金」として処理する工程が加わる
    • 3社間ファクタリングは仕訳が2本で完結し、経理負担が少ない
    • 決算をまたぐ場合も、ファクタリング契約時点で売掛金はオフバランスされるため、特別な決算整理仕訳は原則不要
    • 個人事業主は確定申告書の「その他の経費」欄に手数料を計上する
    ファクタリングは資金繰りの有力な手段だが、正しい会計処理をしてこそ経営判断に活きるデータになる。初回の仕訳さえ正確に設定すれば、2回目以降は会計ソフトのテンプレート機能で効率化できる。不安がある場合は、初回だけでも税理士に仕訳を確認してもらうことをおすすめする。
    関連記事:ファクタリングの必要書類と準備のポイント

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